ソフィア・コッポラ監督“ロスト・イン・トランスレーション”

ソフィア・コッポラ“ロスト・イン・トランスレーション”ソフィア・コッポラ監督第2作“ロスト・イン・トランスレーション”を観た。

最初に断っておくけれど、東京が舞台だからどうという映画ではない。当然のことながら、別に日本の世相風俗を捉えようという映画ではないからだ。どうもこういう映画を観ると「外国人から見た日本」についてばかり話したがる人がいて、それで楽しいのかと不思議に思うことがある。

ふたりの男女が途方に暮れている。

それだけといえばそれだけの映画だ。それのどこが面白いのか。ぼくだってそう思う。ただ、そこに描かれる正体不明の(とあえて書いておきたい)寂しさや不安は、十分に共感可能だと思う。表面的な原因なんていくら解消されても満たされない気持ちというはある。そういうとりとめのないものを、とりとめもなく描いている。

これまでビル・マーレイにそれほど注目して映画を観たことはなかった。“ゴーストバスターズ”“ワイルドシングス”“チャーリーズ・エンジェル”で見た記憶がある程度だ。あのとぼけた味の俳優が、この映画を殆どその微妙な表現力だけでもたせている。これほど画面もちのする俳優だとは思わなかった。見ていて飽きない。

そして、スカーレット・ヨハンソン。

彼女の魅力を伝えるのは難しい。顔はまあ好みの問題はあれ、普通に可愛いといったところだと思う。美少女だとかいうようなタイプではない。背は低いようだし、スタイルも特にいいわけじゃない。冒頭でいきなり大写しになる尻を、ぼくは魅力的だと思うけれど、大多数の賛同を得られるとは思わない。

彼女の演技は特別なものには見えない。控えめとさえいっていいと思う。なのに目が離せない。機微を感じる。子役からキャリアがあるとはいえ、ビル・マーレイと比べてさえ、その存在の重みに遜色がないのは見事だと思う。

今度は“真珠の耳飾りの少女”も観てみようと思う。

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